こんにちは、出張専門鍵屋KOロック「ケーオーロック」です。
今回は【鍵】に関する用語をまとめてみました。鍵屋のサービスを受けたり防犯対策を理解するには、専門用語を知っておくことが大切です。
ここでは主に、家・車・バイク・金庫に関する用語を分かりやすく解説します。
鍵や錠前の種類に関する基本用語
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シリンダー(Cylinder)

鍵穴部分の金属部品で、鍵(キー)の形状や防犯性能を決める重要な部位。住宅や車の鍵交換で「シリンダー交換」という言葉がよく使われますが、これは鍵穴のみの交換を指します。
錠前(Lock Set)

Wikipedia等では「錠前とは錠と鍵をセットにしたものの総称」と記載されていますが、鍵屋でいう錠前とは、「デッドボルト(閂)やラッチボルトの機能が備わった部品を指すことが多い」です。
弊社含め、錠前のことを「ケース」と呼ぶ鍵屋も多いです。
ディスクシリンダー

既に廃盤となったMIWA製の旧シリンダーを筆頭に、机・物置・スーツケース等に多く使われている鍵穴。鍵穴を覗くと板(ディスク)状のタンブラーがあります。防犯性能はそこまで高くありません。
ロータリーディスクシリンダー

ロータリーディスクシリンダーとは、美和ロックがディスクシリンダーの後継として開発した鍵穴。U9(ユーナイン)シリンダーが有名で、防犯性能が非常に高いのに安価という優れもの。
ピンシリンダー

内筒ピンと外筒ピンの境界(シアーライン)を揃えることで開け閉めが可能になる鍵穴。メーカーやシリーズによってピン数が異なり防犯性能も変わります。GOAL・SHOWA・ALPHA・WESTなどのメーカーが有名です。
ディンプルシリンダー

防犯性能と利便性を高めた鍵穴です。世に出た当初は住宅でしか見掛けませんでしたが、現在は金庫・シャッター・宅配ボックス・電動自転車などにも採用されています。
エースキー/八万ロック

丸い筒状の鍵穴をしているのが特徴で、ハーレー・自動販売機・ゲームセンターの機械などでよく使われています。構造上、ピッキングによる解錠は難しくなっています。
棒鍵/管キー

アニメ等でよく使われる「THE 鍵」。鍵穴が前方後円墳のような形状をしているのが特徴です。年代物のキャビネット・蔵・一部の自動ドアで見かけますが、年々現場で当たる機会は少なくなっています。
刻みキー

側面がギザギザしている形状の鍵(キー)を指します。ディスクシリンダー・ロータリーディスクシリンダー・ピンシリンダーの鍵(キー)がこの刻みキーに当たります。スペアキー/合鍵を比較的安価に作れます。
ディンプルキー

キーの表面に複数のくぼみ(ディンプル)かある鍵を指します。ディンプルシリンダーに使われており、ギザギザしていないため折れるといったリスクが少ないです。スペアキー/合鍵は刻みキーに比べて高価です。
ウェーブキー

キーの表面が波のように曲がっているのが特徴で、ウェーブキーの中にも内溝キーと外溝キーが存在します。近年は自動車「トヨタ・レクサス・ホンダ・スバルなど」の鍵で多く使われています。
カードキー

文字通りカードが鍵になっています。カードを挿し込むタイプもあれば、かざすタイプもあります。鍵屋的には「シャーロック」と「ケイデン」が有名で、現場でよく遭遇します。
ブランクキー

まだ何も削られていない金属キーのことを意味します。ブランクキーは加工をする目的で製造されているため、真鍮という柔らかい金属であることが多いです。
住宅の鍵に関する用語
サムターン

家の中から鍵を開ける時に回す「つまみ」部分をサムターンと呼びます。解錠用語の「サムターン回し」とは、このサムターンを回して開けることを指します。
防犯サムターン

サムターン回しによる解錠を防ぐ目的で開発されたサムターン。スイッチ付きタイプ・偏芯タイプ・倒れているのを起こしてから回すタイプなど多くの種類があります。
サムスライダー

ガラガラと横にスライドさせるドアに付いている引戸錠もしくは引違い戸錠で、内側からつまみを上下にスライドさせる部分。上に持ち上げると解錠状態・下に下げると施錠状態であることが多いです。
ドアスコープ

玄関ドアに取付された部品で、室内側から外側を見る時に覗く2cmほどのガラスの覗き穴。サムターン回しによる解錠をする際、玄関にドアスコープがあるかどうかが重要になります。
ドアポスト

玄関ドアに取付されたポスト(郵便受け)。ドアスコープ同様に、サムターン回しで鍵を開ける際にこのドアポストが取付されているかどうかが重要になります。
なお、ドアポストからの解錠に対応している鍵業者は極一部です。
クレセント錠

ガラガラと横にスライドさせる一般的な窓に取付された鍵。近年のクレセント錠は、施錠したフックを固定する2重ロックの機能が備わったタイプが主流です。
電気錠

一戸建ての玄関に付いていることが多く、家から配線を通して電気を供給し、その電力で鍵を開け閉めする錠のことを指します。配線を通すため設置には電気工事が必要です。
電子錠

電気錠と似ていますが、電子錠は家から電気を供給するのでは無く、乾電池などを利用して鍵を開け閉めする錠のことを指します。近年は自分で簡単に取付できるスマートロックが普及しています。
※キュリオロック・セサミロックなどが有名です。
車やバイクの鍵に関する用語
インロック/インキー/内鍵

車の場合は車内に、バイクの場合は座席下のシート内に鍵を閉じ込めてしまった状態を指します。スペアキーが無い場合は基本的にロードサービスや鍵屋に依頼して鍵を開ける流れになります。
イグニッションキーシリンダー

車のエンジン始動用の鍵穴。イグニッションは英語で「点火・発火」を意味します。近年の車は、イグニッションキーシリンダーがツイストノブ式やプッシュスタート式になっていることが多いです。
ツイストノブ

車のエンジンを始動させる際、ガスコンロのようなつまみを回すタイプが存在するのですが、このつまみ部分を指します。ダイハツで最も使われています。
プッシュスタート

車のエンジンを始動させる際、丸いボタンを指で押し込むタイプが存在するのですが、このボタンを指します。メーカー問わず、年式が新しい車両はこのプッシュスタートが主流です。
シャッター/マグロック

一部の原付バイクに設置されている磁石(マグネット)の力で操作する鍵です。施錠すると鍵穴をシャッターが閉じて蓋をし、異物購入やいたずらを防いでくれます。
※一部の金庫にも似たように磁力(マグネット)で開けるタイプが存在します。
リモコンキー/キーレスキー

ドアシリンダーにキーを挿し込まなくても、ボタン操作で鍵の開け閉めができる鍵。車のグレードやオプションで有無が分かれることが多いです。
リモコンキーもキーレスキーも同じ意味です。
イモビライザーキー

キーの根元部分にイモビライザー(トランスポンダー)チップが内蔵された鍵。チップのIDと車両側のIDが一致した場合のみ点火機能が働きエンジンが始動します。
※キーレスキー/リモコンキーでありながら、イモビライザーキーであることも多いです。
スマートキー

イグニッション(エンジン始動用の鍵穴)にキーを挿さなくても、ツイストノブやプッシュボタンを押すだけでエンジン始動ができる鍵。ドアロックも同様にキーを挿す必要がない。
メーカーによってそれぞれ呼び方が異なります。
メーカー | スマートキーの呼び方 |
---|---|
トヨタ | スマートキー / スマートエントリー&スタートシステム |
ホンダ | Hondaスマートキー / スマートカードキーシステム |
日産 | インテリジェントキー / インテリジェントキーシステム |
マツダ | アドバンストキー / アドバンストキーレスエントリー&スタートシステム |
スバル | アクセスキー / キーレスアクセス&プッシュスタート / キーレスアクセスシステム |
ダイハツ | 電子カードキー / キーフリーシステム |
スズキ | 携帯リモコン / キーレススタートシステム |
三菱 | キーレスオペレーションキー / キーレスオペレーションシステム |
いすゞ | パッシブエントリー&スタートシステム |
※全てではありませんが、スマートキーの場合はメーカー問わずイモビライザーも入っている可能性が非常に高いです。
メカニカルキー/エマージェンシーキー

スマートキーに内蔵されている非常解錠用の鍵のこと。バッテリーが上がったりスマートキーの電池が切れた際、車の鍵を開け閉めするのに必要です。
キープレート/キータグ(鍵番号)

キープレート/キータグには鍵番号が刻印されており、新車購入時に鍵と一緒に渡されます。車種や年式によっては、運転席シリンダーに鍵番号が刻印されているものもあります。
鍵番号が分かれば、ディーラーで削られた鍵を取り寄せすることができます。
防犯アラーム

リモコンキーやスマートキーで施錠後、リモコンキーやスマートキー以外の方法で鍵を開けると大音量の防犯アラームが鳴り響く機能。
30秒ほどで鳴り止む車種が多いですが、ホンダはキーレス/リモコン登録をしないとエンジンがかかっていても鳴り続けることがあります。
また一部のレクサスなどの高級車は車内にも感知センサーが付いており、座席などに一定以上の負荷を加えると再度鳴り出すこともあります。
フリーホイール機能

不正にドアシリンダーを回して鍵を開けようとした際、一定以上の負荷が加わることで自動的に空回り(空転)する機能。フリーホイールで空転した場合、鍵は開きません。
金庫に関する用語
手提げ(てさげ)金庫

手で持ち運びが出来るよう取手が付いている金庫。持ち運びを目的に作られているため、サイズは小さく軽量化されています。軽量化されてる分、破壊には弱い面があります。
家庭用金庫

メーカーや型番にもよりますが、電子レンジくらいの大きさで、鍵穴とダイヤルが1つずつ付いているタイプが一般的です。ダイヤル番号を揃え、最後にキーを回すと開きます。
業務用金庫

店舗や会社に設置されていることが多い基本大型の金庫です。100万変換ダイヤルと呼ばれる非常にセキュリティの高いダイヤルが使われており、壊さず開けれる業者はそう多くありません。
テンキー金庫

電気を使うデジタルな金庫で、暗証番号(テンキー)を正しく入力することで解錠できます。セキュリティは非常に高いですが、電池の液漏れや不具合などで開かなくなることが多いです。
固定変換ダイヤル錠

主に手提げ金庫と家庭用金庫に使われているダイヤル錠で、ダイヤル番号を変更する機能が最初から備わっていません。購入してから破棄するまでずっと同じ番号で開けます。
※1枚羽,2枚羽,3枚羽,4枚羽があります。
100万変換ダイヤル錠

主に業務用金庫に使われているダイヤル錠で、文字通り100万分の1の番号を合わせることで開けられます。番号の変換機能が備わっており、解錠状態であれば任意の番号に設定できます。
1億変換ダイヤル錠

一部の限られた業務用金庫にだけ使われているダイヤル錠で、1億分の1の番号を合わせることで開けられます。100万変換ダイヤルと同様に、こちらも解錠状態であれば任意の番号に設定できます。
耐火性能
主に家庭用金庫と業務用金庫に備わっている性能で、火災に遭っても中の物が燃えないよう耐火金庫は守ってくれます。JISの規格により耐火性能は5種類あります。
耐火性能は半永久的なものでは無く、日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会は金庫の耐用年数を約20年と定めています。
鍵屋の技術・作業に関する用語
ピッキング

鍵穴「シリンダー」を専用道具で弄って開ける作業を指します。近年の住宅関係はピッキングが通用しないことが多いため、住宅以外で使う機会が多いです。
ピッキング道具を鍵屋以外が所持することは法律で禁止されています。
バンピング

特殊なキーを叩き、一時的にシアーラインを揃えて解錠する作業を指します。構造的にピンシリンダーにしか使えません。
近年はアンチピッキングピンという特殊構造のピンが採用されていることが多く、この場合はバンピングによる解錠が非常に難しくなります。
サムターン回し

室内側のつまみ「サムターン」を強制的に回して解錠する作業を指します。上記でも触れましたが、近年は簡単にサムターン回しができないよう様々なサムターンが研究開発されています。
カム送り(バイパス解錠)

シリンダーとドアの隙間から、細い針金などを使って錠前ケースの弱点を直接操作して解錠する作業を指します。
カム送り(バイパス解錠)ができる製品は既に特定されており、現在それらは廃盤もしくは後継機種に変わっています。
破壊開錠

その名の通り鍵や錠前を壊して強制的に開錠する作業を指します。必要最小限で破壊開錠するにはメーカーや型番ごとに急所を細かく熟知している必要があり、簡単そうに思えますが経験と知識が必要です。
インプレッション

ブランクキー「削る前の状態の鍵」を使い、僅かな痕跡を頼りに0から回る鍵を作る技術。メーカーや型番で痕跡の大きさ変わり、鍵屋でも苦手としている人が多いです。
隠れピン/追加ピン/シークレットピン

主に車のキー作成で使われる用語で、ドアシリンダーよりもイグニッションシリンダー(エンジン始動用の鍵穴)の方が入っているピン数が多い場合に使います。
イグニッションシリンダーの方がピン数が多い場合、ドアシリンダーからキー作成してもドアしか回らないため、追加でキーを削る必要があります。
イモビライザー登録

車やバイクのIDとキーのIDを一致させて点火機能が働くようにする作業。専用の機械で簡単に登録できるタイプもあれば、コンピューターを外してハンダゴテでチップを取り外す必要があるタイプもあります。
スペアキー登録/追加登録

既存の鍵(スマートキー)を元に、エンジン始動ができる鍵を増やす作業。登録するには基本、車両と鍵を対応業者に持ち込む必要があります。もちろんディーラーでも対応可能です。
※弊社ではスペアキー登録/追加登録は対応しておりません。
コンピューター交換

鍵(スマートキー)を全紛失した際、主にメーカーが取る対応方法です。イモビライザーやスマートキーの情報が入っているコンピューターを新品に交換し、そこから純正診断機で必要な登録を行います。
探り解錠

金庫やポスト等のダイヤルを開ける技術の1つで、手に伝わる感覚や僅かな音を頼りにダイヤル番号を1枚ずつ調べていきます。業務用金庫の探り解錠に対応している業者は極一部です。
まとめ
鍵に関する用語を雰囲気だけでも知っておくと、鍵屋に連絡をした時スムーズに話を進められます。また余計な出費を抑えられます。
特にシリンダー・サムターン・イモビライザー・スマートキーといった用語は頻繁に使われるため、事前情報として知っておいて損はありません。
今回は鍵関連の中でも多く使われる用語だけを抜粋して書きましたが、今後も必要だと思われる用語があれば追加していきます。