こんにちは、出張専門鍵屋KOロック「ケーオーロック」です!
11月に入り、前回のブログにアップしたよう早速閑散期と分かりやすいほどに案件が減りました。私だけ…
相方スタッフだけあちこち走り回っており、なんだか申し訳なく思えてきます💦
さて今回のお題は、【危険な依頼人】について。
鍵屋の技術は悪い人に利用されやすい
弊社のようなレスキュー鍵屋は家や車などの鍵を開ける(解錠作業)のも仕事の1つなのですが、この技術を悪用しようとする人も存在します。
そのため家の解錠であれば【身分証】で住所一致の確認を必ずしますし、車であれば【身分証&車検証】などで所有者確認を必ず行います。
財布ごと盗難されて身分証が何も無い場合などは、警察官が立ち会いしてくれる場合のみ弊社では対応可能です。
※警察官の立ち会いは任意のため、警察官によっては断られます。そして断られた場合は弊社では防犯上の都合から対応できません。
対応不可であることを伝えると怒って暴言を吐かれる方もいらっしゃいますが、どれだけ怒られたり脅されても弊社では作業しません。
お客様によっては正当な理由がある方もいらっしゃるのかもしれませんが、ここを曖昧にした状態で鍵屋は作業できないのです。
何も問題の無いお客様?
これは約10年ほど前のことですが、24時間営業だった当時、深夜に玄関の鍵を失くしたとお電話を頂きました。
電話でやり取りして判明した状況は以下の通りです。
- お客様は30代男性
- お客様は外出中に鍵(キー)を紛失
- 奥様は鍵を持っているが、遠方に旅行に行ってるためすぐ帰ってこれない
- 奥様が旅行から帰ってきた際に奥様の鍵が使えないと困るため、解錠とキー作成をご希望「MIWA U9」
- お客様は運転免許証を持っており、現場の住所と完全一致
- 表札もお客様の名字で一致
鍵屋視点で見ると、何の問題も無い至って普通のお問い合わせです。断る理由がありません。
キー作成は少し珍しいですが、その理由もしっかりしています。
強いて言えば1点!とにかく急いでいるとのことで、何時までに終わるのかを非常に気にされていました。
明日のお仕事が朝早いのかしら?位にこの時は思っていました…
身分証の確認も問題なし
急いで現場に駆けつけ、まずは免許証で住所一致の確認をします。
結果、何の問題もありません。現場の住所と完全に一致していますし、表札も一致してます。
よってそのまま作業に取り掛かります。
作業の途中で事態が一変
まずは玄関解錠ですが、ここは特筆することも無く鍵穴以外からアタックしてサッと解錠!
とこの時、パトカーのサイレンが近くに聞こえます。こんな深夜にお巡りさんも大変です。
お次はキー作成ですが、車両に積んでるキーマシンを使って削るため、一度シリンダーを外して車両に持っていきます。
私『作業車に積んでる機械でキーを作るため、一度鍵穴を分解して作業車に持っていきますね。ん?あれ?お客様?お客様ー?』
近くにいたはずのお客様が消えました。
どこ行ったのかとキョロキョロしていたら、警察官2人が僕を目掛けて走って近付いてきます。あ、さっきのパトカーの音はここ目指してたのか!
ん、でも何で?
警察官『あなたここで何をしてるんですか?』
私『え、あの、鍵屋でしてここの鍵を開けて鍵を作ってます』
警察官『駄目ですよ!あなた利用されてます!』
私『???』
頭がこんがらがっていたら、今度は女性が現れました。
女性『ここは私の家で、さっきあなたと一緒にいたのは私の元旦那です。ストーカーが激しく接近禁止令も出されている人です。』
私『大変申し訳ございません。免許証の住所が完全一致していたため、疑うこともなく鍵を開けてしまいました。本当に申し訳ございません。』
依頼者は元旦那さん
上に書いたことが全てですが、依頼してきた人は元々ここの家に住んでいた元旦那さん。
接近禁止命令を無視し、奥様の外出中を見計らって弊社に解錠とキー作成の依頼をしたのです。キー作成まで希望していたため今後もこの家に来る予定だったのでしょう。
時間を急いでいたのは誰かに見られるリスクを少しでも減らしたかったのでしょう。
事前に身分証確認をしたとはいえ、ここの玄関の鍵を開けたのは私であり私の責任です。非常に怖い思いをさせた奥様は被害者であり、私は怖い思いをさせた加害者です。
奥様は今回私が騙されたことを考慮して下さり、今後ここの現場の依頼は絶対に受けないということを条件に許して下さいましたが、同様のトラブルで民事裁判を起こされた同業者も存在します。
改めて【鍵を開ける仕事の重大さ】を勉強しました。
鍵屋は嗅覚が大事
今後、万が一元旦那さんから弊社に依頼が来た際は当たり前にお断りします(警察に通報します)が、元旦那さんが他社に依頼をした時に他社が案件を断るのは正直難しいと思います。
理由は「免許証の住所が現場住所と完全一致」しているためです。
元旦那さんは故意に新しい住所への変更手続きをしていないと思われますが、鍵屋からすると免許証の住所一致が確認できれば基本は開けます。それが仕事だからです。
これを防ぐには、依頼を受けた人もしくは作業する人が、お客様の放つ【危険な匂い】を感じ取るしかありません。
レスキュー鍵屋をやっていく以上、この匂いを感じ取る嗅覚が無ければいつか痛い目をみます。事前に危険を察知し、依頼を断らなければいけないのです。
「鍵を開ける」という特殊技術を持っている以上、騙されるのも罪であり、利用されてはいけないのです。
また法律や裁判どうこうでは無く、誰かを悲しませたり怖い思いをさせてるようではまだまだ未熟なのであります。



