近年、重機にもイモビライザー「盗難防止システム」が搭載されたIDチップ付きの鍵が増えてきましたが、弊社はメーカー問わず重機のイモビライザー登録には対応していません。
型式・年式・車体番号からイモビライザーの有無を調べることも弊社ではできないため、イモビライザーの有無はメーカー様にご確認願います。
またイモビライザーの有無が不明の状態で出張する場合、鍵の作成後にイモビライザーが原因でエンジンが始動しなくても、出張費・夜間料金・作業費は全額掛かりますことを予めご理解ご了承願います。
こんにちは、出張専門鍵屋KOロック「ケーオーロック」です!
前回のブログに引き続き今回も重機の鍵を作成してきたのですが、今回はパワースクリーンという海外製の重機。とても刺激的な作業となりました。
鍵を全紛失した時の費用や対応エリアなども詳しく掲載しますので、同様のトラブルでお困りの方は参考にして頂ければと思います。
ご依頼時の流れ

また他にスペアキーなど1本も無い状態なのですが、新しい鍵を作成して頂くことは出来ますか?
場所は◯◯市です。
◯◯市であれば近いため、抜けた場合は総額¥8,800円(税込)。抜けない場合は¥0円で見て頂ければ今すぐ出動します。
また海外製の重機の鍵作成も過去にやったことがないため、こちらもやってみないと正直分かりません。
作成できた場合は別途¥22,000円(税込)。作成できない場合は¥0円です。

現場には別のスタッフがいますので、着いた時にすぐ分かるようこちらで話をしておきます。
簡単に上記の流れからご成約に。ありがとうございます🙇
海外製の重機はお初のため勉強させて頂きましょう!
パワースクリーンのチーフテン
今回実際に作業してきた重機がこちら。

- メーカー:パワースクリーン
- 機種:チーフテン400
- 製造地:北アイルランド
- 鍵穴:ギザギザの刻みキー
- イモビライザー:なし
写真だと分かりづらいですが、まずサイズが大きくて圧倒されました。
さすが海外重機!と思いきや、これで小型なんですって💦


とまあ重機の大きさは置いといて、問題は鍵穴「シリンダー」。
お客様に鍵穴の位置をお聞きします。
鍵穴の位置がやばすぎる

実際の写真がこちら。1枚では説明できないため3枚撮りました。


真っ暗で中が見えず、ライトを点けてようやく鍵穴を発見!

鍵屋として今まで様々な鍵穴「シリンダー」を見てきましたが、ここまで隠れている鍵穴は初めてです。
スペースがあまりにも小さく、頭どころか手を入れて作業するのも大変なレベル💦
鍵の折れた原因がやばすぎる
変な体勢でこんな狭いところの鍵を回していたので、変に力が加わり今回『ポキっ』と折れちゃったのかな?と予想しましたが実際は違いました。

今日もいつも通りペンチで挟んで回そうとしたら急にポキっと折れちゃいまして…
毎回ペンチを使わないと回らない鍵穴となると、間違いなく何かしらの不具合が起きています。ただその原因は分からず、シリンダーを外すのも僕の知識&技術では無理!
位置的に重機の一部を解体しなきゃ無理かと…
両手を入れての作業ができないため、片手で折れた鍵の先端を抜けるか不安でしたが、地道にカリカリ手前に引っ張ったらあっさり抜けました👍
鍵抜き作業は無事完了!
鍵作成の難易度がやばすぎる
普段からペンチを使わないと回せない鍵穴とのことから、新しい鍵を作成できるか不安でいっぱいでしたが、とりあえずできる限りのことを試すとしましょう!
片側5ピンのシリンダー
まずはこの鍵穴「シリンダー」が何ピンシリンダーなのか、片側にだけピンが入っているのか、それとも両側にピン入っているのかをピンを弾く音で調べます。
鍵穴を覗けないため他に方法がありません。
結果、今回の海外重機は【片側5ピンシリンダー】ということが判明。一般的な原付バイクと同じです☝️
ただ種類がピンなのかディスクなのかは覗けないため未だに分かっていません。
ブランクキーの選定
お次はどのブランクキー「削る前の鍵」を使用するか1本ずつ挿して確認するのですが、お馴染みのホンダバイクのブランクキーである【M375番】が挿さりました。
だがしかし、油性ペンでピッチを調べてみると長さが足りない💦
ショルダー部分を削って延長しても使えそうですが、今回はヤマハバイクのブランクキーである【M408番】を使うことに。
そのままでは挿さりませんが、片側0.3くらいずつ削ったらスムーズにささるようになりました👍M408は長さを延長しなくても大丈夫!
インプレッションで鍵作成
スムーズに挿さるブランクキーができたら、音とインプレッションで段差データを予想します。
※インプレッションとは、回らないキーを鍵穴に挿しカタカタ動かした時の跡を頼りに鍵を作る鍵屋の特殊技術。
抜き取った折れた鍵にもヒントは出てましたが、摩耗と毎回ペンチで挟まれてただけあってズタボロのため段差を読めず。
で、現場到着から1時間ほど掛かり、ようやく回る鍵が完成👍

鍵を途中までしか回せない
今回ここから大ハマりしました。
原因は鍵を回すのがあまりにも固すぎること。
作成した鍵を回すと内部のランプは点灯するのですが、更にそこから力を入れて回し、10秒ほどキープしないとエンジンを始動できなかったとのこと。
かなり力を入れないと回せなかったらしく、どのスタッフさんもバイスで無理やり回してたそうです。
ということで僕もバイスで鍵を挟んで力を入れて回しますが、一定以上の力を入れると鍵がねじ切れてしまいます💦
本来は両面削りですが、強度を保つためにあえて片面削りで試すもねじ切れる💦
元々のマスターキーは【ステンレス製】で硬い金属のため今までこの技が通用していましたが、ブランクキーは加工することを目的に製造された【真鍮】という柔らかい金属。
何本も何本も試しましたが、真鍮のブランクキーでは毎回最終的にねじ切れてしまいます…
これはもうギブアップ…
お客様のアイデアがやばすぎる
回る鍵は技術的に作れるのにどうしても強度が足りない。
ここまで数時間試しましたが、最終的な【強度】を突破する未来が見えなくなったためお客様にごめんなさいします。
真鍮を硬くするような知識も技術も私は持ち合わせておらず、大変申し訳ございませんが鍵は作れません。
鍵は作れていないため、鍵抜き費用¥8,800円(税込)のみ頂ければ大丈夫です。

すぐそこに切れなくなって捨てる予定だったステンレスハサミがあるんで持ってきますね👍
ちょ、ステンレスハサミて…
さ
さ
最高のアイデアですやんかー!僕には絶対に出てこない発想!!
むしろ普通の鍵屋さんの脳内にはこのアイデアが出てこないでしょう!だって言ってることやばいもん笑(お客様には内緒🥺)
でもこの普通では解決出来ない作業の中、普通のことをしていたら結果はついてきません!いかにぶっ飛んだ発想をできるか!
僕は今までの知識やらの先入観が完全に邪魔をしていました!情けない!!
ステンレスハサミでブランクキーを作成
とりあえずお客様が持ってきて下さったステンレスハサミを2つに分断。

このハサミもまさか自分が切られる側になるとは思わなかったことでしょう。
分断後は先ほど作成した【M408番】のブランクキーと同じ形になるよう、サンダーで先端・厚さ・側面・ショルダー・溝などを削っていきます。
なお、今後同様の作業をする人はいないと思いますが、刃先の方は薄くて使えない&危険なため、先に刃先部分を削って太くすると安心です!
削っては鍵穴に挿さるかチェック、また削ってはチェックを1時間ほど繰り返し、ようやくスムーズに挿さるステンレスハサミのブランクキーが完成👍

ステンレスハサミで鍵作成
綺麗に抜き差しできる加工が終われば後は簡単!
先ほど回るように作成した【M408番】を元に、ハサミをスペアキーとして削るだけ☝️
唯一の懸念点はキーマシンの刃が持つかどうか。
キーマシンの刃が折れたらゲームオーバー!こんな作業予想もしていなかったため、替え刃は持っておりません。
とにかく元々ステンレスを素材を削るようには出来ていないため、とにかくゆっくりゆっくりハサミを鍵の形状に削っていきます。
で、なんとか刃も折れず無事に完成!これがステンレスハサミで作った鍵です!

ギザギザ部分もアップしたいところですが弊社は鍵屋。お客様にお渡しする鍵の形状をネットで公開するわけにはいきませんので、モザイク加工してます。
前より使いやすくなったハサミキー
問題は鍵としてしっかり機能するかどうか。またねじ切れずに強度が持つかどうか。
結果、めっちゃスムーズに回すことに成功!しかも取っ手が長くなったことで回しやすくなり、バイスで挟まなくても最後まで楽に回せるようになったとお客様が感激しておられました♪
問題の強度も攻略!ステンレスハサミ硬すぎ😎
とまあ最後まで回したら急に重機のどこかから『ピーピー』と音が鳴り、お客様がすかさず『この音が最後まで回った合図です!そのまま10秒キープしてください』と。
しかーし10秒待ってもエンジン始動せず。
どうやらエンジンも非常にかかりづらかったらしく、10秒キープを何回も何回も繰り返し、毎回20分くらい掛けてエンジンがかかってたようです😅
ここまでやり遂げたので海外重機のエンジン始動も見てみたかったですが、しばらく待ってもかからないのと疲れたので引き上げました🥺
もちろん鍵作成料金を頂いて👍
費用・作業時間・対応エリア
今回のパワースクリーン含め、海外重機の紛失キー作成に掛かる費用やエリアは以下の通りです。
出張費&夜間料金
- 柏市&流山市は出張費¥0円
- 上記以外の千葉県,茨城県,埼玉県は弊社(柏市西原)から1kmにつき¥100円+税
- 夜間(21時以降)は別途¥5,000円+税
※出張費は片道分のみ掛かります。往復分ではありません。
作業費&作業時間&エリア
●作業料金(部品代込み)
今回のパワースクリーン含め、海外重機のギザギザしている刻みキー作製に掛かる作業費用(部品代込み)は¥2万円+税
●作業時間
鍵穴を覗くことができる国産重機であれば約30分〜1時間ですが、今回のように鍵穴を覗くことができない場合や、ブランクキーの加工が必要な場合などは数時間掛かります。
今回は鍵抜き&ハサミによる鍵作成に合計3時間半掛かりました。
●出張対応エリア
基本的な出張エリアは千葉県|茨城県|埼玉県の一部ですが、別途出張費を頂戴できるのであればその他近郊も対応させて頂きます。
※千葉県・茨城県・埼玉県以外へ出張する際は、弊社(柏市西原)から片道1kmにつき¥200円+税が掛かります。
限界突破
今回の作業でまた1つ学びました。それは【限界だと思ったら限界突破すれば良い】ということ!
ちなみに今回僕は限界突破をしていません!お客様の超スペシャルアイデアに乗っかっただけ。
頭の良い人は自分には無理な作業だと認識した時、どういう言い訳をすれば相手に仕方ないと思わせられるかを上手に考えます。
もちろん自分の力量を把握することはとても大事なこと。でも言い訳が上手な人はきっとずっと限界突破は出来ない。
限界突破する人はいつだって変態なのですから!by鍵屋KOロック
言い訳はずっと下手で良い!と思った今年の夏なのであります🐒
最後に、今後も他に方法が見つからない場合は同様にハサミ等を加工して鍵にすることが出てくると思いますが、最初からハサミ希望といったご依頼はお受けしていませんので宜しくお願いします🙇