こんにちは、出張専門鍵屋KOロック「ケーオーロック」です!
今回は【鍵屋KOロックのリアル】第3弾!何事も最初が肝心ということで、隙あらば書いてます。
ちなみに今回はかなりセンシティブな内容。人の死について触れるため、苦手な方は読まないで下さい。
鍵屋の仕事は死と向き合う
弊社は家の鍵を開けるのも仕事の1つですが、中には安否確認だったりで人の死を目の当たりにすることもあります。
※安否確認とは人が倒れているかもしれない家の解錠作業。
鍵屋になりたての頃は鼻を突く死臭が本当に苦手でしたが、さすがに何件もそういった現場を回っていると徐々に匂いにも耐性がつきます。
安否確認って消防や警察が窓ガラスでも割って家に入るんじゃないの?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、緊急性や事件性の証拠が無い場合は基本的に無理やり突入は出来ません。
基本的には親族などが鍵屋に解錠の依頼をし、警察立会いの元で鍵屋が鍵を開けます。
解錠後に家の中を調べるのは基本警察官ですが、状況によっては人の死を見ることもあります。
家の鍵が壊れ室内からも開かなかった現場では、ご遺体の横で解錠作業したこともあります。
競売物件の鍵交換依頼が思わぬトラブルに
これはちょうど1年ほど前になりますが、いつも弊社を使ってくださる競売物件専門の会社様(A会社様)から鍵交換のご依頼を頂きました。
◯月◯日に土地と建物の所有権が依頼者であるA会社様に移るため、その日に合わせて一戸建ての鍵交換に来て欲しいという内容。
依頼内容としてはよくある案件の1つです。
鍵交換の当日になり、ご予約頂いた時間に現場へ行ってみると玄関前で困り顔のA会社様と他数名。
事情を聞くと、家(戸建て)の2階で人が亡くなっているかもしれないとのこと。
前の入居者様はこの日に家を失うため、悩んだ結果そういった決断をしたのでしょう。
人の死は怖い
更に詳しく聞くと、不自然に座り込んだ状態の大柄の男性がいたとのこと。怖くて近寄れなかったが、首を吊っているかもしれないと。
この怖いという感情は当たり前で、人は人の死と対面した時に恐怖を覚えます。
私も過去に一般の方よりは多く人の死を見てきましたが、毎回直視できません。ずっと怖いです。
一度不思議で調べてみたことがあるのですが、人は人の死に顔を見ると死を身近に感じ、無意識に自分の死を意識してしまうことが原因のようです。
父親が死後硬直した姿も見ましたが、家族の死ですら怖いという感情を覚えました。そんな父に対して心臓マッサージをした妹は本当に凄い。
尊敬です。
助けられるなら助けたい
今回の場合、その座り込んでいる男性を見た途端に全員避難したとのことでしたので、亡くなっているかまだ分からない状況。
既に警察と消防に電話済みとのことたが、もしかしたらまだ亡くなっていないかもしれません。もしくは今ならまだ間に合うかもしれません。
多少なりとも人の死に免疫があるのは私だけ。
誰も怖くて近寄れないとのことでしたので、私1人で家の中に入り2階の部屋に行きました。たまにこんな自分の性格が嫌になります。
行くと首を紐で吊っていました。
本来はここで脈があるかや呼吸などを調べ、亡くなっているのが確実であれば私は触らないのが適切。現場を荒らさず警察と消防を待つべきでしょう。
しかしそんなこと過去に1度もやったことが無く、恐怖で手も足も震えている私には出来ない。
私は恐怖を誤魔化すために、自分が出せる最大の声量で『大丈夫ですか?これからクビに引っ掛かっているロープを切断します』と話しかけながら紐を切断しました。
切断と同時に上に吊られていた重心が下に下がり、崩れ落ちそうになりましたがその方の背中を支えなんとか耐えました。
その後しばらくして警察と消防が来ましたが、既にお亡くなりになっていたことが判明しました。
今後も私は同じことをする
そこから数時間、私が紐を切ったということで、どういう状況だったのか事細かく事情聴取を受けました。
これは覚悟していましたが、問題はその後のある人物の発言。
事件の可能性があるのか無いのかも分からない状況で何故ご遺体に触ったのか、紐を切ったことで長時間の捜査が必要になったと語気を強める方がいました。
私はムッとして言い返しました。
『私は今、人の命を救おうとした行為を咎められているのですか?私は迷惑なことをしたのですか?私は鍵屋ですが、安否確認などの作業で生死の狭間にいる方を何度か見てきて助けられた命もあります。私がもし今後、今回と同様の現場に当たったとしても助けられる可能性が僅かでもあるなら私は必ず紐を切ります。』と。
その方は何も言い返しませんでした。
もちろん私がしたことは正義でも無ければ良いことでもありません。むしろ迷惑なことをしたのでしょう。
当の本人が助かっていたとして、自ら選んだ選択なのに何故助けたのかと恨まれる可能性だってあります。
結局私がやっていることは自己満足。それでも私は今後、同じ状況に遭遇したら紐を切ります。